No.76 センリョウ(H14.7.5)


撮影 H14.6.11 馬堀海岸

センリョウ (センリョウ科センリョウ属)

 関東地方南部から西の暖地の林内に生える常緑小低木で、庭園にもよく植えられています。冬に、真っ赤な実が、緑の枝先に集まって上向きについた姿は鮮やかです。そこで、庭木のほか、切り花や鉢植えが正月飾りとして親しまれています。
 6〜7月が花期ですが、小さくて地味な花なので、その期間を気づかずに過ぎてしまいます。
 センリョウの花は、両性花としてはいちばん単純な構造です。花には花弁も萼もありません。一つの花には、1本の雄しべと1個の雌しべしかありません。
 写真の黄緑色の球が子房で、その先のふくらみが柱頭(雌しべの先端で雄しべの花粉を受ける部分)です。子房の腹に、やや白っぽい1本の雄しべがついています。
 昆虫を引き寄せるための花弁もなく、蜜も出さないこの花は、花粉の輸送を主に風に頼ります。
 受粉が済むと雄しべは落ちてしまいます。そして、子房が大きくなっていきます。赤く熟した実には、柱頭と雄しべの痕跡である二つの小さなへそが見られます。