No.142  ナンバンギセル (H17.9.26)


撮影 H17.9.23 鴨居

ナンバンギセル (ハマウツボ科ナンバンギセル属)

 日本全土に分布する1年草で、国内では主にススキに寄生します。ススキの根に食い込んで栄養分の一切を依存するので、葉は退化して光合成をする葉緑素もありません。
 地下茎はごく短く、そこから、花期の8〜9月になると数本の花柄を伸ばし、それぞれの頂上に1個の花をつけます。つぼみをつけた花柄は直立して20aほどに伸び、淡紫色の花を横向きに開きます。先の尖った萼から3a前後の筒状の花冠が現われます。
 和名は南蛮煙管で、花の姿が南蛮(なんばん)渡来の煙管(きせる)をおもわせることからだといわれます。万葉集では「思い草」という名で歌われ、当時すでに、ナンバンギセルとススキの関係が知られていたのがわかります。
 果実は、開花後1ヵ月ほどで熟し、冬の乾燥期に粉末状の細かい種子を散らします。
 最近は放置されたままのススキの原も少なくなり、花の時期にならないと姿を見せないことなどもあって、その気になって探さないと出会う機会もありませんが、横須賀市内では数ヶ所で確認されています。